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半自動溶接で使用するガスの種類は?おすすめのCo2溶接機も紹介

  • 公開日:2017年06月13日
  • 最終更新日:2022年08月16日

半自動溶接機を使いたいがそもそもガスって必要?

どんなガスが必要で、どこから買えばいいのか?等、初心者にとってはわからないことだらけです。

 

私(弊社)は溶接機を専門に販売しており、溶接経験は約12年です。

今回は溶接初心者に向けて、半自動溶接で使用するガスや用途、特徴等を解説します。
最後まで読んでいただければ、半自動溶接とはなんぞや、ということが理解いただけます。
ぜひ参考にしてみてください。

 

半自動溶接で使用するガスの種類

まずは半自動溶接を行う際に使用するガスの種類と溶け込みの違いなどを

お伝えします。

一般的に半自動溶接で使用されるシールドガスは下記の3種類となります

 

  • 炭酸ガス(CO2)・・・主に鉄(軟鋼)の溶接に使用します。
  • アルゴン(Ar)・・・主にアルミの溶接
  • 混合ガス(アルゴンと炭酸ガスの混合)・・・主に鉄(薄板等)の溶接

※DIY的な使い方であればノンガスワイヤーを使用すればガス無しでも溶接可能です。(軟鋼)

詳細はこちらのページを確認下さい。

 

ではまず溶接時になぜガスが必要なのか。

 

ガスを使用せず溶接をすると、溶接部やアークが外気(空気)に剥き出しになってしまい

シールドされないので、見た目も悪く、溶接欠陥を引き起こしてしまうからです。

 

溶接部をシールドガスで覆う事で、外気をシャットアウトした状態で溶接ができるので

強度が高く、同時に美しい溶接が可能になります。

 

それでは3種のガスの特徴です。

 

炭酸ガス(Co2)

炭酸ガス

炭酸ガスについて、特徴・溶接性等

半自動溶接で一番多く使用されているのが炭酸ガスです。

炭酸ガスボンベは液化された状態で緑色のボンベに充填されています。

 

アルゴンガスや混合ガスと比べて価格が一番安価で液化されているので使用できる量も多いです。

不燃性ですが、アーク放電の強烈な熱で一酸化炭素を生じるので換気が必要です。

 

溶接性に関しては、シールドガスの中ではスパッタが多い方ですが、炭酸ガスは

アークと化学反応を起こす為、炭酸ガスとアークの間に反発力が発生しアークが

細くなり熱エネルギーが集中して、深く溶け込みます。

 

流量調整器(レギュレータ)について

アルゴンガス等とは違い、液化されているので接続する流量調整器(レギュレーター)は

ヒーター付、もしくは放熱フィンの付いたタイプを使用します。

炭酸ガス調整器(co2)

アルゴンガス用の調整器でも少しの時間であれば使用できますが、溶接を続けていると

流量調整器が凍結してしまいます。液化炭酸ガスが気化する段階で熱を奪ってしまうからです。

 

<設定方法>

  1. ボンベに接続し、溶接機につながるホースにも接続します。
  2. ボンベの元栓を開くとゲージが上がります(ガスの残量)
  3. 溶接機のスイッチを押してガスを流しながら流量調整のつまみを緩めます。
  4. 流量調整の玉が上がるので約10Lで止まるように調整して設定完了です。

※接続部は漏れが無いか確認し、作業後は必ずボンベの元栓を締めましょう。

 

 

炭酸ガスボンベの大きさについて

ボンベの大きさは数種類あり、大きさで充填量が違います。

溶接でよく使われるボンベでは下記のような種類があります。

※他にも医療用やビール等にも使用するので大きさは様々です。

 

  • 7kg・・・小型 (高さ:1000mm × 直径:140mm)
  • 15kg・・・中型  (高さ:1000mm × 直径:190mm)
  • 30kg・・・大型  (高さ:1300mm × 直径:230mm)

※こちらは内容量であり、容器も含めた総重量ではありません。

工場等では30kgの大きいボンベが一般的です。

 

産業ガス取扱のあるガス屋さんで調達できますが、流通量の多い30kg以外は

ボンベごと買い取りになることが多く、30kgボンベはレンタルが一般的です。

その場合、最初に保証金として数万円必要な場合があります(ガス屋さんによります)

 

使用量が多い場合はレンタル可能なボンベがお勧めです。レンタルの場合、ガスがなくなると

ガス屋さんが充填済のボンベと交換してくれます。買取ボンベの場合は空のボンベを

回収→充填→配達となるので数日はボンベが無い状態になり、その間は溶接ができません。

 

 

アルゴンガス(Ar)

アルゴンガスボンベ

アルゴンガスについて、特徴・溶接性等

アルゴンガスは基本的にTIG溶接に使用されます。

 

半自動溶接でもアルミ溶接が可能な溶接機(パルス機能付)で、アルミを溶接する際

にアルゴンガスを使用します。アルゴンガスで鉄の溶接はできません。

 

イナートガス(不活性ガス)と言われ、無色、無味、無臭で他の物質と科学反応を

極めて起こしにくい気体で、ねずみ色に塗装されたボンベに入っています。

 

3種の中では一番高価なガスです。

少しややこしいのですが、TIG溶接の場合はアルゴンガス1種類で鉄、ステンレス、

アルミ、チタン等ほとんどの金属が溶接できますが、半自動溶接ではアルミ溶接時のみ

アルゴンガスを使用します。鉄の溶接は炭酸ガスを使用します。

 

流量調整器(レギュレータ)について

アルゴンガスの場合は気体のまま充填されていますのでヒーター付ではない、

通常のアルゴンガス用の流量調整器でOKです。

アルゴンガス流量調整器

ネットでも多く販売されていますが、日本のボンベに接続できない物もあるので注意しましょう。

 

 

アルゴンガスボンベの大きさについて

アルゴンガスボンベの大きさは数種類ありますが、溶接でよく使われるボンベでは下記のような種類があります。

 

  • 3㎥(立米)・・・中型  (高さ:1000mm × 直径:190mm)
  • 7㎥(立米)・・・大型  (高さ:1450mm × 直径:230mm)

他にも2㎥や1.5㎥のボンベがあります。

 

こちらも7㎥の場合、容器はレンタルが一般的で他のサイズは買取が多いです。

使用量が多い場合は7㎥、溶接頻度が低い場合は2~3㎥のボンベがお勧めです。

アルゴンガスボンベ

 

混合ガス(アルゴンと炭酸ガスの混合)

アルゴンガスボンベ

混合ガスについて、特徴・溶接性等

アルゴンガス80%+炭酸ガス20%の混合ガスです。(割合が違う場合もあります)

アルゴンガス主体のガスだからなのかアルゴンガスと同じねずみ色のボンベに入っています。

アルタンと呼ぶ場合もあるようです。

 

流量調整器に関してもアルゴンガス用の調整器を使用します。炭酸ガス用でも問題ありません。

 

アルゴン主体の混合ガスなので、炭酸ガスより若干高価にはなりますが、スパッタが少なく、

ビード外観が良くアークの安定性も良いので最近広く用いられているガスです。

 

自動車のボディ等、薄板の溶接にもよく使用されています。

溶け込みは炭酸ガス100%の方が深いです。

 

 

混合ガスボンベの大きさについて

混合ガスのボンベはアルゴンガスボンベと同じで、下記の種類があります。

 

  • 3㎥(立米)・・・中型  (高さ:1000mm × 直径:190mm)
  • 7㎥(立米)・・・大型  (高さ:1450mm × 直径:230mm)

他にも2㎥や1.5㎥のボンベがあります。

 

 

Co2溶接とは?

半自動溶接で最も一般的な溶接方法で炭酸ガス(Co2)をシールドガスとして使用する半自動溶接のことです。

ソリッドワイヤーを使用し、主に鉄の溶接を行います。

 

トーチスイッチを押すと炭酸ガスとワイヤーが出てきて、ワイヤーが母材に接触すると

アークが発生し、溶接がスタートします。

半自動溶接

 

Co2溶接のメリット

  • 炭酸ガスが他のシールドガスよりも比較的安価なので経済的
  • スイッチを押すとワイヤーが出て、連続で溶接できるので作業効率が高い
  • 溶接個所にもよるが溶接しやすく難易度が低い(TIG溶接等と比べて)
  • 溶接棒を何度も変える必要がない(手棒アーク溶接と比べて)

 

 

Co2溶接のデメリット

  • 風の影響を受けるので屋外での溶接には不向き(四方を囲えばOK)
  • トーチケーブルの長さは限定される(最長5M程度)
  • 溶接中、トーチケーブルはあまり曲げると良くない

 

半自動溶接の場合、ワイヤーがトーチケーブルの中を通って先端から出てくるので

ケーブルが長ければ長いほどトーチケーブル内部の摩擦等でワイヤー供給が遅れたり、

不具合が起きやすくなります。従って3M程度が一般的です。

極端に曲げると良くないというのも同じ理由です。

 

半自動溶接機 トーチケーブル

 

ただ、その解決方法としてスプールガンを使うという手があります。

スプールガンを使用できる半自動溶接機は限られますが、手元にワイヤーをセットできるので

ケーブルの取り回しが自由にでき、長さが10Mでも問題無く使用できます。

スプールガン(10M)
スプールガン(10M)

 

 

Co2溶接ができるおすすめの半自動溶接機

弊社がおすすめの半自動溶接機はこちら!(近日販売予定)

インバーター直流半自動溶接機WT-MIG200S

WT-MIG200S(単相200V) ・・・最新機種で鉄・アルミ・ステン等の溶接が可能。

<特徴>

  • AUTO機能で簡単設定・・・母材の材質と厚みを設定すると自動で電流・電圧が調整されます。
  • カラーディスプレイ・・・操作パネルがカラーで表示され、見やすく設定も簡単です。
  • アルミ溶接も可能・・・鉄はもちろん、アルミ溶接も可能です!
  • ノンガス溶接も可能・・・ノンガスワイヤー使用でガスが不要!(軟鋼溶接)
  • 3年保証付!・・・3年間の修理保証が付いておりますので安心してご購入いただけます。

 

 

Co2溶接機の使い方

CO2溶接機(半自動溶接機)の使い方ですが、下記の動画にてご確認下さい。

 

 

ステンレスのCo2溶接はできる?

半自動溶接機は主に鉄(軟鋼)の溶接に使用され、ステンレスの溶接と言えばTIG溶接が一般的です。

 

半自動溶接機でもステンレス(フラックス)ワイヤー+炭酸ガスでステンレスの溶接が可能ですが、

はやり見た目(仕上がり)の良さはTIG溶接の方が綺麗なので通常、ステンレスの溶接には

TIG溶接機を使用します。

 

では、どんな場合に半自動溶接機を(ステンレス溶接に)使用するかと言うと

見た目(外観)を重視しない場合です。例えば、

 

  • 自分(自社)で使用するものなのでしっかり溶接できていればいい。
  • 製品ではあるが、裏側等の見えない部分の溶接。
  • 溶接個所が多い(長い)ので見た目よりも効率重視。

 

 

Co2溶接機の炭酸ガス流量の設定値

炭酸ガス調整器の流量設定ですが、弊社で販売中の溶接機の場合、10L/min程度です。

 

溶接機の種類や母材の厚み、電流設定によって変えたりする場合もあります。

屋外作業や、ワイヤー突き出し長さが長い場合は多めに出します。

炭酸ガス調整器 流量設定

 

素材や仕上がり、用途に合ったガスを選ぼう

以上、半自動溶接で使用するガスや特徴等について説明してきました。

 

まとめると、下記のような感じになります。

 

  • DIYで使う程度、溶接頻度も低い、屋外作業→ノンガスワイヤーを使用(ガス無し)
  • 仕事や趣味で使用、溶接頻度も高い→ 炭酸ガス(Co2)を使用
  • 薄板溶接が多く、仕上り重視→ 混合ガスを使用
  • アルミの溶接→ アルゴンガスを使用

 

以下に半自動溶接機で使用するガスの種類を表にまとめましたので確認下さい。

炭酸(Co2)ガス 混合ガス アルゴンガス
鉄(軟鋼) ×
ステンレス ×
アルミ × ×

※ステンレス・・・ステンレスフラックスワイヤーを使用します。

 

他、不明な点がございましたらお気軽に問い合わせ下さい。

 

弊社で販売している半自動溶接機

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