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ファイバーレーザー溶接機でロールケージを製作|最新加工機械で実現した高精度・高効率な溶接事例

  • 公開日:2026年03月23日
MR-S 自作ロールケージ ロールバー

こんにちは。

久しぶりに物づくりをしました。車のロールケージです。
レーザー加工機、レーザー溶接機、パイプ切断機、パイプ溶接機と新しい機械が増えましたので、とても作業効率が上がりました。
そちらのご紹介も兼ねております。興味のある方はご覧ください。

各作業の動画は最後に載せていますのでご確認下さい。


競技車両のロールケージは、ドライバーの命を守る最重要保安部品です。レース車両のロールケージを、今回アルミ製から鉄製へとフルリニューアルしました。

2017年に製作した前回のアルミ製ロールケージは、競技の車検で材質(アルミ)を指摘され、あわや失格という事態に。9年間お疲れさまでした。今回は鉄製(38φ・肉厚2tの鉄パイプ)で作り直すことになりました。

取り外したアルミ製ロールケージ(2017年製作)
今回取り外したアルミ製ロールケージ。2017年製作で9年間活躍しました。

この製作プロジェクトでは、弊社が取り扱う4種類の最新加工機械を全面的に活用しました。ファイバーレーザー溶接機ファイバーレーザー加工機高精度パイプカッター自動パイプ溶接機の4機種が連携することで、従来の手作業では実現できなかったスピードと精度を達成しています。本記事では、各機械が実際の製作工程でどのような役割を果たしたかを具体的にご紹介します。


ロールケージ製作の工程と使用機械

STEP1|パイプの曲げ加工

パイプベンダー(油圧式)で38φ・2tの鉄パイプを曲げ加工しました。最大75度程度まで曲げてもシワが寄らず、きれいな仕上がりでした。

油圧リフトベンダーでパイプを曲げている様子
油圧リフトベンダーで38φ鉄パイプを曲げ加工。75度まで曲げてもシワが寄りません。

STEP2|パイプの切断|高精度パイプカッター

パイプを指定の長さに切断する工程では、高精度パイプカッター(自動切断機)を使用しました。この機械の最大の特長は、完全に垂直な切断面が出ること。バリがほぼ発生しないため、切断後にそのまま溶接作業へ移行できます。切削油が不要なため作業場が汚れず、騒音レベルもバンドソーと同等で、作業環境への負担も少ないです。

高精度パイプカッターでパイプを切断している様子
高精度パイプカッターで鉄パイプを切断。完全な垂直断面が出て、そのまま溶接に使えます。
高精度パイプ切断後の断面。バリがなく垂直な仕上がり
切断後の断面。バリがほぼなく、グラインダーでの後処理が不要です。

STEP3|パイプの溶接|自動パイプ溶接機

パイプ同士の突き合わせ溶接には、自動パイプ溶接機を使用しました。操作方法は非常にシンプルで、「パイプをクランプしてボタンを押すだけ」で均一な品質の溶接が完成します。弊社では自製の治具を用意することで15度程度の斜め切断・溶接にも対応しています。溶接終了時の電流を絞る「ダウンスロープ機能」など、細かなパラメータ調整も可能です。

自動パイプ溶接機の外観
自動パイプ溶接機。クランプしてボタンを押すだけで一定品質の溶接が完成します。
自動パイプ溶接機による溶接結果
自動パイプ溶接機で溶接した仕上がり。均一できれいなビードが出ています。

STEP4|ブラケット・ステー類の切り出し|ファイバーレーザー加工機

車体との取り付け部分となるブラケットやステー類の切り出しには、ファイバーレーザー加工機(切断機)を使用しました。DXFデータを読み込んで微調整するだけで、4mm鉄板を約20秒で高精度切断できます。図面さえ描ければ、あとは機械がやってくれる感覚です。

ファイバーレーザー加工機に読み込むDXF図面データ
図面データをレーザー加工機に読み込みます。図面を描ければ9割完成したようなものです。
ファイバーレーザー加工機で鉄板を切断している様子
ファイバーレーザー加工機で4mm鉄板を切断中。切断時間は約20秒です。

ボルト穴にはリード線(加工開始点)を追加する設定を入れることで、穴の精度をさらに向上。パーツの落下防止のため1mmのマイクロジョイントを設定しており、手で軽くひねるだけで切り離せます。アシストガスは窒素を使用しています。

レーザー加工機で切り出したブラケット(表面)
切り出し完了。切断時間は約20秒、人の手とは比べものにならないスピードと精度です。
レーザー加工後の切断面(表)
切断面(表)。窒素アシストガスを使用したクリーンな仕上がりです。
レーザー加工後の切断面(裏)。わずかにノロが付着
切断面(裏)。わずかにノロが付着していますが、加工設定の調整で改善できます。
レーザー加工で切り出したブラケットを車体に仮組みした状態
レーザー加工で開けたボルト穴は精度が高く、車体への仮組みもドンピシャでした。

STEP5|本溶接|ファイバーレーザー溶接機

メインの溶接工程にはファイバーレーザー溶接機を使用しました。パイプ端面の蓋溶接、ステーとパイプの本溶接、T字継手など、ロールケージのほぼすべての溶接箇所に対応しています。ポジショナーを使わない手持ち溶接でも、均一で美しいビードを形成できます。

ファイバーレーザー溶接機でパイプ端部に蓋をした状態
パイプ端部をファイバーレーザー溶接機で溶接。ポジショナーなしの手溶接でも均一に仕上がります。
ファイバーレーザー溶接機でステーを本溶接している様子
ファイバーレーザー溶接機で本溶接中。TIGより速く、仕上がりも均一です。
T字継手をファイバーレーザー溶接で仕上げた状態
T字継手のファイバーレーザー溶接仕上がり。きれいなビードが確認できます。

TIG溶接機とファイバーレーザー溶接機の役割分担が効率の鍵

今回の製作で特に効果的だったのが、TIG溶接機とファイバーレーザー溶接機の役割分担です。

  • 仮止め・微調整 → TIG溶接機(取り回しが良く小回りが利く)
  • 本溶接 → ファイバーレーザー溶接機(高速・高品質)
TIG溶接機で車体に装着した状態で仮止め溶接している様子
車体に装着した状態での点付け溶接はTIGトーチで。取り回しが良く、細かい箇所に最適です。
自動パイプ溶接機で車体ボルト止め受けを溶接している様子
車体とボルト止めする受け部分は自動パイプ溶接機で溶接。プールを見ながらダウンスロープの調整が可能です。

車体に装着した状態での点付け溶接はTIGトーチで行い、本溶接をファイバーレーザーで仕上げる流れにすることで、作業効率と仕上がりクオリティを両立できました。全工程をTIGのみで行うよりも「速く」「気持ちが楽」で、疲労感も大きく違います。


完成したロールケージ

4種類の最新機械が連携した結果、高精度なロールケージが完成し、競技会にも無事間に合いました。レーザー加工機で切り出したブラケットはボルト穴の精度が非常に高く、車体への組み付けもドンピシャでした。

完成したロールケージのバー部分
完成したロールケージのバー部分。4種類の機械を使い分けることで高品質な仕上がりを実現しました。
完成したロールケージをMR-Sに取り付けた状態
車体に取り付けた完成状態。競技会に向けて準備万端です。

機械の組み合わせによる工程ごとの効率化が、製品クオリティの底上げと作業時間の短縮を同時に実現しています。溶接・切断機械の導入をご検討の方にとって、参考事例になれば幸いです。

製作の詳細な工程は、下記の動画でご確認いただけます。

動画:ロールケージ製作の全工程(ファイバーレーザー溶接機・加工機・パイプカッター・自動パイプ溶接機を使用)

デモ機は埼玉、福岡の店舗にてご確認いただけます

今回ご紹介した以下の4機種のデモ機は、弊社店舗に常設しています。実際の動作や仕上がりを目でご確認いただけますので、導入をご検討の際はお気軽にご来店・お問い合わせください。

株式会社WELDTOOL(溶接機専門店)

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