小さいステーの溶接
対象のステーはこちら。芯棒は邪魔なので外しておきます。
ナットを外せば簡単に外れるかなと思いきや
か、固い。。。どうも圧入してあるみたいで、手でグイグイやってもびくともしません。
今回はブレーキキャリパーから外れた状態ですのでプーラーで圧入を外せましたが、キャリパーに取り付けられた状態から外すのは苦労しそうです。
これを延長していきます。
緻密な計算の元に弾きだされた寸法で型紙を作りまして、切り出した一つをベースの型とします。
マジックでザックリとケガきます(緻密とは
左右で2つ必要なんですが、必要な厚み(6mm)の鉄板がありませんでしたので、3mmのフラットバーを重ねて溶接し、厚み6mmとします。
僅かに大きめに切り出しておいて、溶接後にまとめて削って同じ大きさにします。
この延長部分を溶接します。
元のパーツの亜鉛メッキ及び延長部分の黒皮は剥がしておきます。
毎回言ってますが、溶接前にメッキは必ず剥がしておかないと汚くなり強度も落ちます。黒皮はまだマシですが。。
あと、メッキは成分が宙に舞い、それを吸ってしまうと中毒になりますのでお気をつけください。
ナメ付け~本溶接まで通しで撮りました。
小物は普通のTIG溶接の場合、スピーディーに溶接しないと全体的に熱を持ってただれ落ちてしまうんですが、マイクロTIGだと局所的に熱が入るので、溶けてデロデロになりにくいです。
まずはナメ付けしまして
棒を置きっぱなしで本溶接。瞬間的な高い電流のアーク発生で、溶接棒も勝手に一体化してくれます。
我ながら、自力で棒を送って溶接するよりも断然キレイですw
錆防止で塗装してこっちは完成。
簡易SST(特殊工具)の製作
続いてこのシャフトに圧入されたステーを取り外すための簡易SST(特殊工具)を作ります。
ブレーキキャリパーから外れた状態だと手持ちのプーラーで外せましたが、組んである状態だとツメやアームが大きすぎて入りません。
また、キャリパーからこれをシャフトごと外そうとしたら、ピストンを抜かないといけないので、そうなってくるとキャリパー自体を外してブレーキフルードを抜いてピストン抜いてシール交換して…と、大掛かりな作業になってしまいます。
それは面倒なので、出来る事ならこのまま圧入されたステーだけ外したいんです。
という訳で試作品その①
ツメでステーを下から保持し、ボルトで芯棒を押してツメで引っ掛けたステー部分を引っ張り上げる作戦です。
試してみましたが片側からだけじゃズレるし、圧入に負けてツメも曲がってしまったのでこれはボツ。
試作品その②
ちょうどいい大きさのパイプがあったのでこれを使います。
パイプにツメを3箇所溶接し、差し込んで回してロックをかける構造に変更。
SSTと言えるほどの代物ではありませんが。。。どうせ今回の作業にしか使わない&多分二度と使わないので、使えればいいやという気持ちで、現物合わせでサクサク作りました。
ステー部分にツメを引っ掛けて、ボルトを回してシャフトを押していくと
パカっと外れました。これで車体に付けっぱなしでも交換できるはず。
キャリパーを外して分解するのとSSTを作るのどっちにしようかなと思いましたが、今回はSSTを作って作業する事にしました。
溶接機があれば工具を自作できる
車弄りをするうえで、工具不足に泣くことは多々あると思うんですが、溶接できたらちょっとしたSST程度なら作れます。
例えば
大きいスパナが無い!→手持ちのフラットバーを溶接して製作。
ボルト/ナットが折れたり舐めたりして外れない!→適当な棒を残った破片に直接溶接して取り外し。
穴を空ける場所を間違えた→溶接して埋めてやり直し(溶接した箇所は硬くなって加工しにくいので、間違えないのが一番ですが)。
これらは実際に体験(失敗?)してきました。溶接機があってよかったです(笑)
またマイクロTIG溶接の場合、溶接したい箇所にピンポイントで溶かし込んでいけるので、小物の溶接に最適です。
福岡/埼玉の営業所にて実際にご利用頂けますので、気になる方は一度ご連絡ください。