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ファイバーレーザーとYAGレーザーの違いとは?原理や特徴を比較

  • 公開日:2024年10月09日
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レーザー溶接機の導入に際して、YAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機のどちらが良いか迷うこともあると思います。
この記事では、前回の「ファイバーレーザーとCO2レーザーの違い」に続いて、ファイバーレーザー溶接機とYAGレーザー溶接機の違いを解説します。

WELDTOOLファイバーレーザー溶接機WT-FL1500Mはタッチパネルで簡単に設定することができ、初心者でも少しの練習でプロ並みの溶接を可能とします。

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1.ファイバーレーザーとYAGレーザーの違い

 

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レーザー技術の進化により、産業界ではファイバーレーザーYAGレーザーが広く使用されています。これらのレーザーは、それぞれ異なる特性を持ち、様々な用途に対応しています。具体的な原理や特徴を理解することで、ニーズに合った最適なレーザーを選ぶことができます。

(1)ファイバーレーザーとは?原理や特徴

ファイバーレーザーは、光ファイバーをレーザー媒体として使用するレーザーの一種であり、高出力かつ高効率で知られています。

ファイバーレーザーは、特定の元素(一般的にはイッテルビウムやネオジウムなど)がドープされた光ファイバーを利用して、レーザー光を生成します。励起光がファイバーに供給されると、ドープされた元素がエネルギーを吸収し、励起状態になります。この励起状態の原子がエネルギーを放出するとき、特定の波長のレーザー光が発生します。この光は光ファイバー内をミラー間で反射を繰り返しながら伝播し、出力されます。

ファイバーレーザーは、一般的に1060nmから1070nmの波長で動作します。電力の大部分をレーザー光に変換可能なため、エネルギー効率が非常に良いという特徴があります。

 

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ファイバーレーザーについては、以下の記事でも詳しく解説しています。

https://www.weldtool.jp/article/yousetsu-sozai/10059

 

(2)YAGレーザーとは?原理や特徴

YAGレーザー(Yttrium Aluminum Garnetレーザー)は、特定の条件下で励起されたレーザー媒体を用いる固体レーザーの一種です。

YAGレーザーは、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)結晶をレーザー媒体として使用します。中でもNdレーザーが一般的で、微量のネオジウムイオン(Nd)が添加されたYAG結晶が使用されます。励起光を照射することで、ネオジウムイオンがエネルギーを吸収し、励起状態になります。これにより、周囲の環境とエネルギーを交換し、レーザー光が生成されます。

 

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生成された光は、特定の波長(通常1064nm)で強力なビームを形成します。

 

2.ファイバーレーザー溶接機とYAGレーザー溶接機のメリットと注意点

 

ファイバーレーザーやYAGレーザーの技術は、溶接機としてさまざまな材料を高精度で加工することが可能です。実際の製造現場では、効率的で強度のある接合が求められるため、各技術の特性を理解することが非常に重要です。

 

以下の表はファイバーレーザー溶接機とYAGレーザー溶接機の違いのまとめです。

 

ファイバーレーザー YAGレーザー
出力 ◎高出力 ◎高出力
効率 ◎高効率 〇中程度
ビーム品質 ◎優れる 〇良好
サイズ・重量 ◎コンパクト △大型
耐環境性 ◎優れる 〇良好
メンテナンス ◎低メンテナンス △中程度
加工速度 ◎高速 △中程度
コスト 〇競争力のある価格 △高コスト

 

ここではYAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機のメリットや注意点について紹介します。

 

(1)ファイバーレーザー溶接機のメリットと注意点

 

ファイバーレーザー溶接機は、高密度レーザー光である「ファイバーレーザー」を利用して、深い溶け込みを可能とする溶接機です。その効率性や精度から、金属の切断、溶接、マーキング、彫刻など、さまざまな産業で広く活用されています。

ここではファイバーレーザー溶接機のメリットと注意点を紹介します。

 

ファイバーレーザー溶接機のメリットは以下の通りです。

①優れたビーム品質

ファイバーレーザーは非常に細い焦点を形成できるため、ファイバーレーザー精密な加工が可能です。高出力のレーザー光により、特に薄い材料や微細な部品の溶接に最適です。

 

②溶接スピードが早く綺麗な仕上がり

ファイバーレーザー溶接機では、瞬時に深い溶け込みが可能なため、溶接スピードが早いというメリットがあります。また、溶接温度のコントロールが容易であり、スパッタを抑制したきれいな仕上がりが期待できます。

 

③強度の高い素材にも対応可能

ファイバーレーザー溶接機は溶接部に高いエネルギーを与えることができるため、鉄、ステンレス、チタンなど高強度の素材も溶接可能です。

 

④高効率・低コスト

ファイバーレーザー溶接機は高いエネルギー効率を誇り、少ない電力で強力なレーザー光を生成します。これにより、運用コストが削減され、長期的に見て経済的です。

 

⑤コンパクトな設計

ファイバーレーザー溶接機は、小型軽量で設置が容易です。限られたスペースでも使用できるため、工場のレイアウトに柔軟に対応できます。

 

⑥耐久性とメンテナンスの少なさ

ファイバーレーザーは耐環境性が高く、冷却が不要なため、溶接機のメンテナンスが少なく済みます。これにより、長期間の安定稼働が期待できます。

 

また、ファイバーレーザー溶接機の導入には以下のような注意点もあります。

導入コスト

初期導入コストは高い場合が多いです。一方でランニングコストは比較的低いため、短期的・長期的両方での視点で検討が必要でしょう。

 

②素材による適応性

ファイバーレーザーは多くの材料に対応していますが、一部の特定材料や厚みには適さないことがあります。事前に対象材料との互換性を確認することが重要です。

 

オペレーターのトレーニングが必要

操作には専門知識が必要であり、オペレーターには適切なトレーニングが求められます。スキル向上のための継続的な教育が重要です。

 

加工速度の影響

高速な加工が可能ですが、設定や材料の種類によっては加工速度に影響が出ることがあります。効率的な運用のために、適切なパラメータ設定を行うことが必要です。

 

⑤安全性

ファイバーレーザーもYAGレーザー同様に「レーザー製品の放射安全基準」の「レベル4」に該当し、直接的なレーザー光はもちろん、反射光も非常に危険とされています。誤って目に入ると、網膜、神経、水晶体などに大きなダメージを引き起こしたり、皮膚の火傷の可能性もあります。取り扱いには十分な注意が必要です。

 

 

ファイバーレーザー溶接機のメリットと注意点を見てきましたが、YAGレーザー溶接機との比較を通じて、それぞれの特性や利用シーンを把握することが重要です。両者は異なる技術的背景を持ちながらも、それぞれ特定の用途や材料に応じて効果的に活用することができます。

 

次章ではYAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機の選び方や使い分けについて詳しく解説します。

 

ファイバーレーザー溶接機については以下の記事でも詳しく解説しています。

https://www.weldtool.jp/article/yousetsu-mokuteki/9688

 

 

(2) YAGレーザー溶接機のメリットと導入時の注意点

YAGレーザーは、その特性から、溶接、切断、表面処理など多岐にわたる産業用途に利用されています。
ここではYAGレーザー溶接機のメリットと注意点を紹介します。

 

YAGレーザー溶接機のメリットは以下の通りです。

①良好なビーム品質
YAGレーザーは優れたビーム品質を提供し、焦点を絞ったレーザービームが得られます。これにより、精密な加工が実現し、歪みの少ない品の高い仕上がりが期待できます。

 

多用途性

YAGレーザーは数ミリ秒という短時間で高い出力が可能で、薄い母材の溶接が得意です。また、エネルギーを集中させれば、厚い材料でも深い浸透力を発揮し、強度の高い溶接ができます。
金属だけでなくプラスチックやセラミックなど、さまざまな材料の溶接に対応可能で、幅広い産業での利用が期待できます。

 

ファイバーの分岐や付替えが可能

YAGレーザー溶接機は、溶接機本体からレーザー光を分岐して同時に複数の溶接を行うことができます。また、 ファーバーケーブルの交換も容易です。

 

耐久性

YAGレーザーは比較的堅牢であり、長寿命のため、メンテナンスが少なくて済みます。これにより、運用コストを抑えることができます。

 

また、YAGレーザー溶接機の導入には以下のような注意点もあります。

 

①コスト

YAGレーザー溶接機は高性能である反面、初期導入コストが高い場合があります。予算を十分に考慮し、長期的な投資として評価する必要があります。

 

冷却システムの必要性

高出力で動作するため、適切な冷却システムが必須です。冷却設備の設置と維持にもコストがかかることも考慮しなければなりません。

 

オペレーターのスキル

YAGレーザー溶接機の操作には専門的な知識や技術が求められます。適切なトレーニングを行い、オペレーターのスキル向上に努める必要があります。

 

安全性

安全にレーザー機器を使用するために、日本では「レーザー製品の放射安全基準」が規定されています。YAGレーザーは、最も危険とされる「クラス4」であり、直接のレーザー光はもちろん、反射光も非常に危険です。誤って目に入ると、網膜、神経、水晶体などに大きなダメージを引き起こしたり、皮膚の火傷の可能性もあります。取り扱いには十分な注意が必要です。

 

CO2レーザーとファイバーレーザーの違いについては、以下の記事で解説しています。

https://www.weldtool.jp/article/yousetsu-sozai/10089

 

3.どちらを選ぶ?違いは?ファイバーレーザー溶接機とYAGレーザー溶接機

 

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YAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機はそれぞれ異なる特性を持ち、特定の用途に応じて選択することが重要です。以下に、選び分けや使い分けのポイントを解説します。

 

(1)加工対象による選択

まずは、加工対象が目的に合っているかどうかを確認しましょう。

ファイバーレーザー溶接機 ・鋼板、SUS、アルミ、鋼、真鍮など
・高反射材、薄板等や、異素材どうしの溶接も可能
・精密な加工が特に得意
YAGレーザー溶接機 ・薄板が得意
・厚い金属材料や高強度の接合が求められる場合も適している
・特に深い浸透が必要な溶接作業において優れた性能を発揮

 

 

(3)コストと経済性

YAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機のコストを比較するには、導入時だけでなく、ランニングコストも忘れず検討しましょう。

ファイバーレーザー溶接機 ・初期投資は高い
・高効率で運用コストが低いため、長期的にはコストパフォーマンスが高い
YAGレーザー溶接機 ・初期投資は高い
・冷却設備の設置費用、ランニングコストもかかる
・長寿命でメンテナンスは比較的少なくてすむ

 

 

(3) 作業環境

YAGレーザー溶接機とファイバーレーザー溶接機の設置スペースや作業スペースには、大きな違いがあります。

ファイバーレーザー溶接機 ・コンパクトで設置が容易
・スペースが限られている工場や、柔軟な配置が求められる場合に適している
YAGレーザー溶接機 ・大型で冷却システムが必要なため、設置スペースに余裕がある場合に向いている
高温や煙の発生に対応できる環境が必要

 

 

(3)オペレーターに必要なスキル

それぞれの溶接機に必要なスキルには、大きな違いがあります。

ファイバーレーザー溶接機 ・操作が比較的簡単
・オペレーターがスムーズに習得しやすい
YAGレーザー溶接機 専門的なスキルが求められる
・オペレーターの教育が重要
・技術の習得には時間がかかることがある

 

最終的には、加工する材料や目的に応じてファイバーレーザーとYAGレーザーを使い分けることが重要です。
両方の技術を持っていれば、幅広い業務に対応し効率的な生産が可能でしょう。選定の際には、具体的なプロジェクトの要件や期待する結果を明確にし、それに基づいて最適な選択を行うことが成功への鍵となります。

 

4.レーザー溶接機メーカーの選定ポイント

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レーザー溶接機の選定は、製造プロセスの効率性や製品の品質に大きな影響を与えるため、慎重に行う必要があります。

ここでは、レーザー溶接機メーカーを選ぶ際のポイントについて具体的に見ていきましょう。

 

レーザー溶接機の選定は、製造プロセスの効率性や製品の品質に大きな影響を与えるため、慎重に行う必要があります。

ここでは、レーザー溶接機メーカーを選ぶ際のポイントについて具体的に見ていきましょう。

(1)実績と評判

 市場での実績や顧客の評判を確認することで、メーカーの信頼性の判断基準になるでしょう。
各社サイトの導入事例や口コミが参考になります。

値段と品質においてコストパフォーマンスが高いと評判のファイバーレーザー溶接機WT-FL1500Mを提供するWELDTOOLでは、以下のように導入事例を紹介しています。

●ァイバーレーザー溶接機の納品先作業集

 

●ファイバーレーザー溶接機納品先作業集②

 

●納品レポートはこちらから!

https://www.weldtool.jp/contents/laser-welding-report

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(2)技術力とイノベーション

 最新の技術や革新性を持つメーカーを選ぶことで、競争力のある生産体制を構築できます。技術支援やアップグレードの提供があるかも確認しましょう。

(3)サポート体制

導入後のサポートメンテナンスが充実しているかどうかも重要なポイントです。
導入時には、保証期間やアフターサービスの内容をしっかり確認しましょう。保証期間内に発生した故障やトラブルについては、メーカーが責任を持って対応してくれるため、安心して運用できます。

 

 

ファイバーレーザー溶接機のWELDTOOLでは、販売やサポートは専門スタッフが対応するので、疑問や不安を解消した上で安心して購入することができます。

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(4)国内メーカー か 海外メーカーか

国内と海外のメーカーには、それぞれ以下のようなメリットとデメリットがあります。

①国内メーカーのメリットとデメリット

 

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国内メーカーのメリットは、まず日本のニーズに合わせた製品設計であることが多く、言語の壁がない分マニュアルがわかりやすく、サポートが必要なときにもコミュニケーションがスムーズです。
国内製品は安全基準も厳格なため安全性には定評があり、信頼性も高いです。

 

また、サポート等の対応が海外メーカーと比較して迅速であることが多いのも国内メーカーのメリットでしょう。

 

一方で、国内メーカーにはデメリットもあります。
第一に、国内生産の機器は製品価格が高いケースが多いことが挙げられます。また、海外メーカーを選択肢に入れた場合と比べて、製品のラインナップに限りがあります。

②海外メーカーのメリットとデメリット

海外メーカーのメリットは、コストパフォーマンスが高い製品が多いことが第一に挙げられます。
また、海外の先進技術を取り入れた製品が多く、最新の技術を享受できることもメリットでしょう。

 

一方で、日本国内で利用した場合、トラブル発生時には拠点が海外である分対応が遅れる可能性もあります。

また、マニュアルやサポートにおいて、言語や文化の違いが障壁となることも考慮が必要でしょう。

以下に、国内メーカーと海外メーカーのメリットとデメリットを表にまとめました。

国内メーカー 海外メーカー
サポート ◎迅速、日本語対応  △日本営業所がない、日本の営業所に技術担当がいない、言語の壁
言語の壁
日本ニーズに合わせた商品設計 ×
日本の安全基準
日本語のマニュアル整備
価格 〇国内生産で高品質だが高価格の場合がある ◎海外生産、コスト競争力
選択肢ラインナップ 〇世界市場に比べると少ない

 

以下の記事では、ファイバーレーザー溶接機おすすめ19選を紹介しています。https://www.weldtool.jp/article/yousetsu-sozai/9937

 

5. 導入後のメンテナンスのポイント

 

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(1)定期メンテナンスの重要性

レーザー溶接機の性能を維持し、長期的な安定稼働を実現するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
定期的な点検や調整により、故障の予防や劣化の早期発見が可能となります。また、メンテナンスを怠ると、製品の品質が低下し、生産効率にも影響を及ぼすため、必ずメンテナンススケジュールを設けましょう

(2)トラブルシューティングと日常的なケア

日常的なケアは、レーザー溶接機の寿命を延ばすだけでなく、安定したパフォーマンスを確保するためにも重要です。定期的なチェックリストを作成し、機器の状態を確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

また、トラブルシューティングのスキルを持つオペレーターを育成することも重要で、問題が発生した際に迅速に対応できる体制を整えておくと安心です。

 

5.まとめ

YAGレーザーとファイバーレーザーは、溶接分野においてそれぞれ異なる特性と利点を持っています。選択する際は、自社のニーズや目的、素材の特性等を考慮することはもちろん、導入後のメンテナンスやサポート体制を確認することも重要です。

 

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