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TIG溶接とは(初心者向け)

2017年07月28日

0.5mm鉄板をナメ付け

・TIG溶接とは

一般的に溶接と聞くとバチバチっと火花が飛び散るイメージの人が多いですが、

TIG溶接は火花は飛び散らず、ステンレスやアルミ、鉄など、ほとんどすべての

金属の溶接が出来ます。

 

溶接方法としてはガス溶接と似ていて、片手に溶接トーチ、片手に溶接棒を持って

溶接します。ステンレスやアルミの溶接に最適で、もちろん鉄の溶接も可能です。

 

また、各種溶接方の中でも溶接の見た目が美しく、アーク溶接(手棒)や

半自動溶接ではできないような細かい部分の溶接にも適しています。

 

TIG溶接部品の仕組みとしては、タングステンという棒に電流を流し、溶接する材料との間に

高温のアーク(電気がショートした時にバチバチッっと光っているのもアーク)

を発生させ、その熱で材料同士を溶かして溶融(くっつける)溶接。

 

 

TIG溶接中材料に空気が入ると、溶接部分に欠陥が起き、見た目も悪くなってしまうので、

主にアルゴンガス(不活性ガス)という無色、無味、無臭で他の物質と科学反応を極めて起こしにくい

安全なガスを材料に吹き付け溶接部分に空気が入らないように溶接します。

 

 

アルゴンガスなどで溶接部品を保護するガス(シールドガスとも言われています)を使用して、

空気をシャットアウトすると強度が高く、同時に美しい溶接が可能になります。

 

 

 

 

・TIG溶接に使用する基本的なトーチ部品

 

 

トーチ取付図

トーチ部品を解体した状態                  トーチ部品を組み立てした状態

セラミックノズル

・セラミックノズル・・・シールドガスの流れや乱れを整え溶接材料やアークにガスを集中(整流)させます。

コレットボディー

・コレットボディ・・・コレットに入れたタングステン電極を固定する部品です。

コレット

・コレット・・・タングステン電極を固定する部品。電極の径に合わせて交換する必要があります。

キャップ

・トーチキャップ・・・キャップをトーチに締め付けると。

コレットの先端がコレットボディ押し付けられ、タングステン電極を固定させます。

タングステン電極

・タングステン電極・・・アークを発生させる電極棒。使用する前に先端を

グラインダなどで尖らせて使用します。(アークを一点に集中させる為)

溶接素材によってタングステンの種類を換え、材料の厚みによってタングステンの太さ(径)を変更します。

 

スイッチ

・トーチスイッチ・・・スイッチを押すとアークスタートとともにシールドガスが出ます。

タングステン突き出し長さ

タングステン電極は溶接部の形状によって多少長さを変えたりもしますが、

基本はノズルから4~5mm出した位で使用します。

 

タングステンを長く出し過ぎると、溶接材料までの距離が長くなり、アークが安定せず、

シールドガスが届かなくなる事で、溶接個所に空気などが入ったり、溶接出来ていない個所などができる事が

あるので、溶接部品に対して適切な突き出し長さを選ばなくてはいけません。

 

TIGトーチ傾け角度

 

トーチを右手で持ち溶接する方は、上記の様にタングステン電極の先端が

溶接材料から3mm位離した状態のままトーチを溶接材料に対して

右に45°位傾け溶接します。

溶接の進行方向は右から左に進んでいきます。

その際タングステン電極が溶接材料に触れないように注意して下さい。

 

左手でトーチを持ち溶接される方は左に45°傾け、左から右へ溶接トーチを進め溶接します。

 

使用するタングステン電極はアークを一点に集中させる為に、先端をグラインダー等で尖らせて溶接します。

 

 

 

TIG溶接では溶接棒(溶加棒とも言う)を使用せずに溶接を行う″なめづけ″という方法もありますが、

通常は溶接材料とほぼ同じ材質の溶接棒を溶接個所に挿入しながら溶接をします。

この溶接棒の挿入速度や挿入方法によって、溶接の溶着量を調整できます。

 

溶接材

例えば上記図の厚み2mmのステンレス板 2枚をなめづけ(溶接棒を使用しない)溶接をするとしましょう。

2枚の板の間に隙間や段差がない状態に並べ、下記図の赤丸個所に溶接電流60A(アンペア)で

タングステン電極の先端を2枚の板と板の間に溶接個所から3mm離してアークを当て

板同士が溶けて繋がるのが見えるまで約2秒位スイッチを押し続け仮溶接(仮付け)します。

 

溶接する前にこの仮溶接をしておくと、溶接中に2枚の板が離れたりずれたりしなくなります。

(このような板と板を並べて溶接する事を、突合せ溶接といいます。)

溶接材2

そして溶接していくのですが、仮溶接した時と同じく溶接電流60Aでしてみましょう。

 

タングステン電極が溶接材料などに接触していると、トーチスイッチを押してもアークが出ませんので、

一度トーチスイッチを押さないままタングステン電極を溶接を始める箇所にコツと当て、

そこから3mm離してからスイッチを押すと、タングステン電極が溶接材料に接触せずに

溶接スタートしやすくなります。

 

 

TIGナメ付け上から

 

 

先を尖らせたタングステン電極を溶接材料から45°位に傾け、溶接を始める箇所にコツっと当て、

3mm位離しトーチスイッチを押し溶接スタート。

溶接する板と板の中間にアークを当てると、2枚の板がアーク熱で溶けて水たまりのような部分ができますが、

それを溶接プールといいます。

ステンレスはアークスタートするとすぐにプールができますので、

2枚の板がプールで馴染んでいるのを確認しながら左方向へトーチを動かしていきます。

 

溶接プールイラスト

 

 

・溶接棒

TIG溶接に使用する溶接棒は溶接材料と同じ金属で作られた棒を使用します。

溶接棒はトーチスイッチを押しアークを発生させて溶接材料が溶けてプールができた状態になってから、

プールの先端に溶接棒を挿入していきます。

棒を挿入した部分が波紋のようにビードになるので、なるべく一定の速度でトーチを進め、

一定のリズムで棒を挿入すると綺麗な溶接ビードができます。

 

初めて溶接棒を使う際にありがちなのが溶接棒をアークの下に入れてしまい、アーク光で

溶接棒が溶けてボテっと下に落ちて汚くなってしまうことがあります。

そうならないように、溶接棒はプールの先端に横から入れるようにしましょう。

 

溶接プールイラスト2

厚み2mmステンレスの突合せ溶接の動画をご覧ください。

 

下の写真は溶接棒を入れて溶接し、一部の溶接焼けを研磨したものです。

溶接ビード

 

・タングステン電極

 

そしてTIG溶接で初心者が必ずしてしまうのは溶接中、タングステン電極を

プールや溶接棒と接触させてしまうことです。

接触するとタングステン電極の先端が消耗するばかりではなく、

プールや溶接棒と接触すると、尖らせたタングステン電極の先端の形状が変わってしまいます。

 

下図の①は通常の尖らせたタングステン電極のなので、先端から真っすぐにアークが出ます。

 

②のタングステン電極は先端が右にズレていることで、

アークも右に出ていくので、ピンポイントにアークが当てにくくなります。

 

③は先端が丸くなっていたり、いびつな形状になっていることで、

アークが一方方向でなく、ユラユラと出ることで、溶接が困難になってしまいます。

 

なので、溶接中にタングステン電極の先端を溶接材料にタッチさせたり、プールに巻き込んでしまうと、

タングステン電極の先端の形状が変わってしまうので、作業をいったん中断し、

電極の先端をグラインダなどで①の状態に再成形しておくとベストな溶接ができます。

 

タングステン電極先端比較

 

私が初めて溶接を体験したのは7年程前ですが、溶接の基本や溶接の進め方など、

疑問だらけでしたし、何度もプールにタングステン電極を突っ込んでいました 😆

今でも弊社の溶接機でものづくりをしていますが、溶接中タングステン電極を溶接材料に

タッチさせてしまう事はたびたびあるので、こりずにタングステンを尖らせて、

TIG溶接で楽しいものづくりをする人が増えてくれたらと思います。

 

弊社の溶接機を検討されている方で、事前に溶接機を使ってみたいとお考えの方は

弊社にて実際に溶接を試すことも可能です。

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